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2011.06.30 

荒木飛呂彦「荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論」


観客はそれを楽しむことも含めて自分の思うように受け取る権利がある。いや、権利とまで言ってしまうと大袈裟かもしれませんが、「こういう映画だからこう見ろ」なんていう意見に対して、皆さんは「クソ喰らえ」と言い返しましょう。(中略)フィクションと知って恐怖を見据える力さえ身に付けられれば、あらゆる映画の中でホラー映画ほど面白いものはないのですから。(P11、12より)

「バオー来訪者」「ジョジョの奇妙な冒険」の漫画家荒木飛呂彦によるホラー映画論。「田舎に行ったら襲われた系」「構築系」など氏独自のカテゴライズで主に1970年代以降の作品について語る。他巻頭に「荒木飛呂彦が選ぶホラー映画Best20」が掲載。
バルバルバルバル バルバルバル!バオーで荒木作品にハマったオッサンとしてはかなり楽しみにしていた一冊。荒木センセは奇抜な発想とキャラクター造形、印象的なセリフや擬音を武器に少年漫画界の一線で30年以上も走り続けてきた方。こと少年向けアクション漫画の世界においては最も尊敬され、今現在でもそのスタイルや名セリフが多くの作品で引用、模倣され続けている稀有な人だと思います。その御大が創作の参考にしてきた作品、発想の源流は一体どんな作品なのか?『あれだけブッ飛んだ作品を描く人が選ぶ作品はさぞかしマニアックで人を選ぶに違いない』『世間一般で名作と呼ばれている有名作もやはり一般人とは評価するポイントや視点が違うのでは?』などと色々期待しながら読んでみましたが、意外や意外。きっちりと整頓された分かりやすい文章で、どこからどう読んでもホラー映画の初心者向けガイドブックになっています。個人的には冒頭の『僕がその作品に"恐怖"を感じたならッ!それはッ!たとえホラー映画というジャンルではなくてもッ!僕にとってのホラー映画となり得るんだッ!!(意訳)』という実に"らしい"勢いのまま最後まで執筆して欲しかった気もします。別にホラー映画をジャンル別に几帳面に解説しなくても、荒木センセが『わッ!怖ぁぁいッ!』と思った映画をただ延々並べてくれればファンにとって最高の一冊になること請け合いだったんですが。そこは少し残念でした。
というわけでナカミは至極まっとうなホラー映画の分析及び評論であり、その多くが一般の視聴者と同じ目線で書かれているので、荒木飛呂彦という人に非常に親近感を覚える内容となっています。走りゾンビはアリだけどランド・オブ・ザ・デッドのビッグ・ダディ(自我を持ったゾンビ)はNGだとか、ヘルレイザーの魔導師超カッコイイとか、ファイナルディスティネーションは1が至高とか、アイ・アム・レジェンド、ハプニング辺りは結構好きだとか、まるで私が友人と会話している様な内容で、読んでいると荒木センセと一緒に映画談義で盛り上がれそうな気さえしてくるんです。あと創作に携わるものとして(多くの場合原作者という立場に立つ者として)作品の作り手に対しての敬意がそこここに感じられるのもいいですね。それはキューブリックの「シャイニング」よりもキングが作った「シャイニング」をオススメするところや、世間が言うところのポンコツ映画、ボンクラ映画というバカにした言葉で作品を安易に切り捨てたりしないところに伺い知る事ができます。まあフォーガットンはトンデモ映画でオチが反則だとは言ってるんですがw
取り扱う作品が70年代以降とちょっと新しめなのでヒッチコック作品や、ドラキュラものが出て来ないのと、当然出て来ると思っていた激突!が紹介されなかったり、ジョジョの元ネタ的な裏話は少ないので期待した人は少しガッカリするかもしれませんが、一般向けの書籍としてはなかなかよく出来た本なんじゃあないでしょうか。私もチェック漏れの作品がいくつかあったのでこれを期にまた観てみたいと思います。
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