--.--.-- 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2011.02.25 

永野のりこ「電波オデッセイ」vol.1 きみが消えてゆく速度よりはやく


「それなりに一生懸命書いたのかもしれませんが」「りかいされるとおもったらおおまちがいです」(P210より)

雑誌「月刊コミックビーム」に1995~1999年連載された漫画。単行本はアスキーコミックから全4巻が刊行された。今回の再販は復刊ドットコムの投票結果によるもので4月下旬に2巻、6月下旬に3巻(最終巻)が順次発売される予定。
両親の離婚、母親からの虐待、育児放棄の末に不登校となった中学2年生の原純子。閉じこもる彼女の元にオデッセイと名乗る謎の男が現れ、実は純子は宇宙の彼方から来た旅行者なのだと言う。オデッセイによると純子の地球での滞在期間は残りあと1年、持って帰れるものは心の中の"おみやげ"だけ。それならば、と純子は残りの旅行期間を楽しむ為に登校することにする。ここで大切な自分の"おみやげ"を見つける為に。
おお・・・本屋に寄ったら新刊の棚に平積みしてあってビックリ。即購入して何年かぶりに再読しましたがやっぱりグッときますね。「みすて♡ないでデイジー」「GOD SAVE THE すげこまくん!」で永野のりこにハマった自分としては、当時かなり異色の作品(永野作品で躁鬱気味のメガネ男子が美女をサドマゾしないなんて!!)でしたが読み進めるうちに心の大事なポジションに位置される作品に。あれから15年以上を経た今でも変わることなく心に響くストーリー、セリフがここにあります。親から受けた虐待、過去のトラウマや級友からのイジメ、劣等感、そして自己否定。消すことの出来ない心の傷とどう向き合って生きていけばいいのか。統合失調的な妄想をフルパワーでポジティブな方向へ振り切るという離れ業を見事にやってのけた傑作です。
キャラクターの中では冗談の通じない生真面目メガネくんでありながら、物語の根本をしっかり支えるキタモリが昔から大好き。幼馴染の原が心配で目が離せない、でも恋に発展するわけじゃないという微妙な距離感がいいですね。クラスでハブられ原と立場が逆転してしまったキタモリが奮起する時の『その願いを叶えるのは僕なんだ』の下りは涙が止まりません。
作中原さんは大本のトラウマ(チャイルドポルノ出演?詳しくは語られません)と対峙するほどの心の強さを身に付けるまでには至りませんが、ダメな親父も帰って来たしこれから二人三脚で何とかやっていけるでしょう。何たってオデッセイは本来原さん自身が持っている力なんですから。ラスト、原さんは虐待した母親を許したんでしょうか。「親を許す」という事はこの世に生まれた事を肯定する究極の形だと思うのです。だから原さんはきっとアダルトチルドレンになったりはしないでしょう。
同封された書き下ろしペーパーによると連載当時の編集は広瀬栄一(ヒロポン)だったんですね。いつも通りの永野作品をダメ出しして『よその雑誌では絶対に描けない様な作品を』とオデッセイを描かせたというエピソードにはヒロポンに感謝を捧げずにはいられません。LOVE。

関連リンク:祝「電波オデッセイ」復刊!永野のりこロングインタビューコミックナタリー
この記事へのコメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。