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2008.08.31 

R・D・ウィングフィールド「フロスト気質(かたぎ)」上・下巻


「これだけは言っとくけど、相手の子はみんなちゃんと十六歳以上だからね」
「それじゃ、何かい――――あんたの坊やたちは片手にちんぽこを、もう片方の手に出生証明書を握り締めてここを訊ねてくるのかい?」とフロストは尋ねた。(上巻P215より)


前作から実に7年振り、まさか、まさかのフロスト新作。下卑たジョークと吐き気をもよおす死体語りがトレードマークのベテラン警部ジャック・フロストが上司につつかれ、部下にナメられ、犯人を取り逃がしながらも事件解決に奮闘する。
現代のイギリス、地方都市デントン。ハロウィーンの祭りで人々が盛り上がる中、デントン警察署は混乱の極みにあった。殺人事件が起こったというのに捜査を統括する高位の捜査官が一人も捕まらないのだ。切らした煙草を失敬しようとふと署に立ち寄った休暇中のフロスト警部は、否応なく現場の指揮を押し付けられてしまう。
本屋で見つけた瞬間、声が出ちゃった位に私にとっては待ちに待った最新作ですが、本作は英国で出版されてから既に13年の時を経ており、続巻を待ってる間に原作者のウィングフィールドも亡くなってしまいました。合掌。というわけでラスト二つ前(未翻訳作があと二つ)のフロスト。上下巻合わせて約900ページ、価格2300円とナカミも値段も頼もしい一作。一冊1000円以上する文庫本なんて川上稔か京極夏彦くらいだと思ってたけど最近はフツーなのかな。
さて戦慄の猟奇殺人も起こらないし、カリスマ的な犯罪者も出て来ない。事件を本格的に推理させてくれるでもなく、話の展開も特にスカッとする事もないフロストシリーズ。人手が足らないのに事件ばかり増えるわ、上司は責任を押し付けてくるわ、気まずい同僚と組まされるわ、手柄はそいつに全部持っていかれるわ、ガサ入れは毎度不発で推理は全部外れるわで楽しい事など一つもありません。そういう何もかも上手くいかない時に、クサらず人に当たらず、タフで下劣なジョークをお供に出来る事をこなしていくフロスト警部の頼もしさといったら。そして要所の細かな気配りと、必要時には罪を見逃す鷹揚さがいつか幸運を運んで来る・・・そんな渋い味わいの作品です。
本作も普通に面白いですが、シリーズ二作目の「フロスト日和」が展開といいまとまり具合といい、間違いなく最高傑作だと思うので未読の方は是非そちらから。
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