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2007.07.22 

神林長平「敵は海賊・正義の眼」


<わかっています。被照準、ガルーダです。マイクロΩバースト、来ます>
「バリアだ」とラテル。「フルパワーをバリアに回せ」
「逃げよう」とセレスタン。「回収してくれ」
「叩き落せ」とアプロ。「昼飯にしようぜ」(P252より)


「戦闘妖精・雪風」の神林長平による人気シリーズ7作目。広域宇宙警察・海賊課の一級刑事ラテルと黒猫型異星人アプロのコンビが大海賊ヨウメイを追って太陽系を駆け巡る。シリーズ2作目「猫たちの饗宴」が89年に衛星テレビでアニメ化。
Ωドライブによるワープで外銀河まで人類が進出した世界。宇宙をまたにかける犯罪者集団は俗に「海賊」と呼ばれ恐れられていた。土星の衛星タイタンで自然保護活動のリーダーをしているゲラン・モーチャイの元にヨーム・ツザキと名乗る男がやって来る。自分の組織がモーチャイの行っている活動によって莫大な損害を被っていると語るヨームは、モーチャイにお互いの問題を解決する方法を提案しに来たと言うが・・・。
もう10年経つのかー。大好きな「敵は海賊」シリーズ、久し振りの続編。自分はアニメ版「敵は海賊 猫たちの饗宴」からのファンなので、読んでいる最中はアニメ版のキャラを頭の中でイメージしてたりします。アニメ版は後藤隆幸のキャラクターデザインと声優陣、特にアプロ=三ツ矢雄二のキャスティングが秀逸で、バカバカしくコメディ色の強い展開が「ウラシマン」「タイムボカン」等の往年のタツノコプロのドタバタSFものを思わせる良作でした。小説版を読んでみると他のエピソードはそれなりにシリアスで驚いた覚えがあります。
今シリーズの見所はやはりラテル、アプロ、ラジェンドラ三バカトリオの掛け合い漫才と、無敵の黒猫アプロに恐れおののく海賊たちの悲哀でしょう。カワイイ外見をしてる癖に残忍で悪食なアプロ、課で一、二を争う腕利きだが相棒に振り回されるラテル、最新鋭の戦闘艦ながらAIのプライドが高く神経質で自己中なラジェンドラ。全く似通った所の無い凸凹三人組のやり取りはいつ読んでも楽しい。ラテルの家族を皆殺しにした血も涙も無い犯罪者集団「海賊」が、黒猫一匹にビビリまくる姿も滑稽で笑いを誘います。海賊は誰もが何かしらアプロに酷い目に会わされていて、そのエピソードが要所で披露されるのも楽しみの一つ。凶悪な海賊達を取り締まる為、海賊以上の権限を持たされた海賊課の傍若無人さが海賊以上に世間で忌み嫌われていることも、シリーズ全編を通しての可笑しみになっています。ほとんどのエピソードは海賊課vs海賊のSFアクションというより、大海賊ヨウメイを中心に起きた奇妙な騒動を軸にしてヨウメイとラテルチームが争う、というストーリー展開。平行世界からタイムスリップまでSF作品ではお約束ともいえるネタが突拍子も無く繰り広げられます。以下ネタバレ。

面白かったー。でも少々物足りなかったかな。「敵は海賊」シリーズは意外と似通ったエピソードが多い気がします。「A級の敵」「猫たちの饗宴」が自己が暴走したAIの話、「海賊たちの憂鬱」「正義の眼」「不敵な休暇」が海賊を憎む男の謎の能力の話、とかなりネタが重なっている感じ。作者が意識してるのかどうかは気になるところですが・・・。本作は海賊を憎む男の謎の能力の話<その3>ということで「不敵な休暇」のアセルテジオ程強くもなく「海賊たちの憂鬱」のマーマデュークのようなブッ飛んだ個性も無いモーチャイでは話がスケールダウンするのは仕方のないところ。それでも刑事のネルバルと助手のレジナという際立った脇役がいるのが救いでしょうか。ラテルチームの掛け合いだけで自分にとっては価値のあるシリーズではありますが、たまには「海賊版」くらいのガツンと来るSF大長編を読みたいもんです。今回は毎回楽しみにしてる「軍神」のオーナー、オールドカルマの出番も無くてちょっと残念。
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