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2007.05.02 

イーライ・ロス「ホステル」


「私は肉食だ。人間の本性だよ」
「オレの本性は違うな」
「では――――君の本性は?」


キャビン・フィーバー」で一躍脚光を浴びたイーライ・ロスによる監督作2作目のスプラッタスリラー。特別出演でイーライ監督の敬愛する三池崇史が本人役で登場。
バックパッカーをしながらヨーロッパ各地を旅行しているアメリカの大学生パクストンとジョシュ。ある時二人は"必ず美女とヤリまくれるホステルがある"との話を聞いて、旅先で知り合ったアイスランド人オリーと共にチェコの田舎町へ向かう。そこで一行は確かに酒池肉林の一夜を過ごすが・・・。
友人からの借り物。通算5回も観てしまった。面白かったよー。非常に残酷で惨たらしく悪趣味なホラーですが、これは狙って作ってるのだから仕方ないところ。展開といいテーマといい、その辺の頭の悪いティーンエイジホラーとは一線を画したインテリジェンスの高さがこの作品の見所です。哀れな子羊は大方の予想通り激しくTortureされた上にダイする訳ですが、バラす変態の方にも一片の理というか。衝撃的な事件の結末を目の当たりにするというよりは、チラリと真実を覗いちゃったゾ☆未だ状況は進行中という感じが実にイヤです。名刺裏の人種別料金表などの細かいギミックが物語に嫌過ぎるリアリティを持たせて、最悪の演出を成し得ています。生粋のホラー映画マニアであるイーライ監督がタランティーノ他、気の会う仲間とよってたかって作り上げた悪夢の結晶といえる作品です。
コメンタリーはバージョン違いを4つ収録と異様に充実していて超素敵。低予算ホラー映画のコメンタリーは時々本編より数倍面白いので困ったものです。中でも監督一人語りによる作り手向けの話がおすすめ。映画監督になる為には何をしたらいいか、安く映画を撮る為の知識、役者の取り扱い方等多岐に渡って熱っぽく語りかけてきます。監督の話からはスタッフに対しての敬意を忘れない、なかなかの人格者である事が伝わってきます。「服が汚れないと仕事をした気にならないんだ」は名言。以下ネタバレ。

大抵ホラー映画で被害者となるキャラクターの「殺されるべき理由」というのは"何かしら過ちを犯した"ことに下される審判、因果応報的なものという意味合いが強いと思うのですよ。それは人を殺した、蔑んだ、掟を破った、調子に乗って人に不快な思いをさせた、などいろいろ理由があるわけですが、この作品の被害者たちはそれほどの事をしていないような。コメンタリーを聞くと、女を快楽の為に買った>買った女に売られる>快楽の為に買われ殺される、という一連の流れが見えてくるわけですが、女に金を払った描写はないし特にセックス狂いでもないツレの日本人女性も売られているので、パッと見テーマが分かりにくいかも。もしかしたら私の方が理解力不足なんでしょうか。
今作の殺戮者がコミュニケーションの取りようの無い気狂いシリアルキラーではなく、主人公達と同じくお金を出してサービスを受けているただの人間(相当の変態ではありますが)なのが秀逸。人の命で商売して儲けている真の黒幕は姿すら見せていません。ロシアンマフィアが企画した闇の仕事に地元の人間が加担し、殺しを求めて集まるのはドイツ人やアメリカ人というグローバルな仕組みが実に近代的。
主人公パクストンが御都合主義とも思える程、無防備な加害者に偶然出くわしことごとく復讐を遂げるのも興味深いところ。ホラー映画とも思えないその爽快感はなかなかのものです。皮肉な事にパクストンは拷問ルームの客の誰よりも多く人を殺しているかもしれません。そういう意味ではホラー映画のエンディングが持つべき終わらない悪夢や後味の悪さは演出できていない気が。とはいえクルマでポン引きと売女を轢き殺すシーンとラストのトイレシーンはやっぱりスッキリするんですけどね。
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