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2007.02.06 

井上雄彦「バガボンド」1~24巻


「クク・・・変わってませんね。相変わらず自分以外の人間に興味のかけらも無いようだ」(14巻より)

「スラムダンク」の井上雄彦による吉川英治「宮本武蔵」の漫画化。
慶長5年(1600年)美濃国不破郡関ヶ原。天下分け目の大合戦に田舎から一旗挙げる為に参戦した二人の若者、新免武蔵と本位田又八はさしたる活躍も出来ないまま、落ち武者となってしまう。何とか落ち延びてある親子の家に匿われた二人だったが、そこでは野党集団、辻風組との戦いが待っていた。
スラムダンク、吉川英治の武蔵共に未読な私。この間『井上雄彦作品読んだ事無いんだわ』とポツリ漏らしたら友人が既刊全て貸してくれました。誰もが知っている日本一の剣豪の生涯なだけに、チャンバラ中心の大活劇だと思っていましたが意外や意外。主に武蔵が対峙するのは敵の剣客ではなく己自身の心。斬り合いの描写に比べると精神的なものが描かれる比重がかなり大きいです。腕前、技術といったものは努力と時間をかければ自然に身に付いて行くけれど、メンタル面だけは己の弱さと真正面から対峙しなければ成長しない。そして真剣勝負や修羅場でモノをいうのは技巧ではない。作中からはそんなテーマが伺えます。時代に乗り遅れた剣しか能の無い男が、太平の世で上を目指し懊悩しながら猛進していく姿は、現代に置き換えても人生の指針、精神的な指標に成り得るのでしょう。だからこそ長年読み継がれるベストセラーであり、吉川武蔵の人物的魅力なのだと思います。
が、しかし凡庸で怠惰な私には武蔵のパーソナリティーは眩し過ぎてなかなか感情移入できず。序盤から置いてかれっ放しです。どちらかといえば終始ヘタレなマザコン又八の方が感情移入しやすいです。でも又八だって傍から見ればいい感じにジゴロで大成しそうだよね。
作中一番惹かれたエピソードはの佐々木小次郎幼年期(14~15巻)辺り。現代語で描かれる男前の英雄譚から少し離れて、人間嫌いの初老の男とろうあの赤ん坊の生活が描かれるのですが、これが実にいいのです。セリフも話の展開も素晴らしいの一言。鐘巻自斎センセの自問自答と伊藤弥五郎のグサリと来る指摘が、心にビリビリ響いて痛いやら苦しいやらで大変です。このエピソードだけでも大きな価値があると思います。未読の方は是非。
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