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2007.01.10 

支倉凍砂「狼と香辛料」III


「愛は金で買えないと詩人は言い、金より大切なものがこの世には存在すると説教師が言う。ならば、金を稼ぐことすらこんなにも苦労するというのに、どうしてそれよりも大切なものがわれわれの手の中に入るのだろうか」(P269-270より)

第12回電撃小説大賞、銀賞受賞作の三作目。行商人ロレンスと狼神ホロの二人旅を描く。
中世のヨーロッパ。齢25の若き行商人クラフト・ロレンスは町から町への旅暮らし。ある日、ロレンスは荷馬車に怪しい女が乗り込んでいる事に気付く。彼女は名をホロといい、自分は豊穣の神で狼の化身だと主張する。一人旅にどこか孤独を感じていたロレンスは、故郷へ帰りたいというホロの願いを聞き入れ共に旅することとなる。
ガッチリ書き込まれた描写と含みを持たせた台詞のやりとり、そして300ページを越える確かな満足。パロディまみれのハーレム系ラノべに飽き飽きした人に送る久々の力作ファンタジー。獣娘スキーの友人に薦められて1,2巻と楽しく読んできましたが、この3巻でグッと来ました。この一冊に出会う為に「狼と香辛料」を読んできた感じがします。
本作の世界観はファンタジーですが、お金の単位と国名を除けば独自のファンタジーガジェットは出て来ません。悪の帝国もドラゴンも、人を襲うモンスターすら出現しません。本作で描かれるのは剣と魔法の戦いではなく商売。不安定な政局の中、したたかに栄える商業組合の力関係の中で、物々交換と金銀銅貨の行方を巡って争う商人たち。リスクとリターンを天秤にかけ、駆け出し行商人ロレンスが相棒ホロと共に世知辛い世の中を渡っていきます。活劇が控えめな分、人同士の交流は濃密。商売を有利に進める為にコネを使い、力関係を見極め、相手の表情を読み、時にはハッタリをかましと手に汗握る交渉が全編にわたって楽しめます。
恩歳100歳、一人称「わっち」。「くりゃれ」「ありんす」など遊女言葉を使う犬耳娘ホロの可愛さが巷では大人気ですが、私は立ち寄った街でロレンスを迎える父親の様な商売人たちの渋さがお気に入り。時には優しく、時には厳しくロレンスを諭す百戦錬磨の男達のコトバにはひどく惹かれるものがあります。『俺とお前は親しいがそれとこれとは話が別だ』的なオヤジにシビれる。
さて3巻。1,2巻と続けて土壇場でホロに助けられてきたロレンスですが、今回対峙するのはそのホロ本人と間男。男の意地と誇りを賭けてロレンスは昨日までの相棒に戦いを挑みます。クライマックスの展開は見事の一言。楽しめます。
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