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2006.11.26 

木村紺「神戸在住」1~9巻


あの頃の思い出はどれも 不自然な程 白い
もしかしてそれは 正規を拒む私の心が 記憶を漂白したせいかもしれない
(7巻P137より)


月刊アフタヌーン連載の日記風漫画。
主人公、辰木桂(かつら)は神戸の大学に通う美術科2回生。阪神淡路大震災の余韻冷めやらぬ街神戸で、桂の大学生活や街の人々との触れ合いがゆったりとしたタッチで描かれる。
絵も話もすんごい好きで連載時からの大ファンなのです。女子大生の神戸絵日記というとオシャレっぽくて一番自分には縁が無さそうなイメージなんですが、特に遊んでるわけでもなくオシャレでもない、色気の無い桂のキャンパスライフはなんだかオタクな自分にも馴染みました。同じく美大を舞台にした「ハチミツとクローバー」や「げんしけん」「四年生」等の大学系コミックと読み比べてみるのも一興。桂の絵日記は特にドラマティックな事が起こるわけでもありませんが、何気ない日常や過去に潜む微細な感情のヒダを丁寧に掘り起こして見せてくれます。今も神戸のどこかに『辰木桂とその友人たち』がいて、そこに行ったら遭えそうな気がする、この空気感は凄いです。正直この『神戸在住』が全部取材によるフィクションだとしたら、作者はとんでもないイマジネーションの持ち主です。考えられない。
スクリーントーンを使用せずベタもたまに使用する程度、ほぼ全ての陰影や色彩を横線のカケアミだけで表現する独自の作画、単純な線でいて的確にその人の個性を反映したキャラやその生活感溢れるセリフ等、この作品の凄いところは枚挙に暇がありません。物語の中で神戸の町並みや文化を紹介していて、ちょっとした観光案内にもなっています。桂の好きな音楽や文学等が、カルチャー的に同世代なので感情移入しやすくもあり。1~3巻は震災前後のエピソード、4~7巻はイラストレーター日向さんと桂の淡い恋模様、8巻以降は社会人になって旅立っていく友人達と桂の将来に関するエピソードが中心となっていきます。
当初は作者木村紺=主人公辰木桂というイメージで読んでいましたが、どうやら桂は漫画に縁が無さそうなので、もしかしたら作者=桂の友人の鈴木さん、なのかなと思えてきました。彼女が唯一の漫画家志望ですし・・・まぁ、これは邪推ですが。さて九ヶ月振りの新刊である9巻では、あの洋子ちゃんがパリから帰還したり、伊達先生の誘いで京都の劇団へ手伝いに行ったり。桂の進路もそろそろ固まりだしたんでしょうか。カバーを外すと見れるディフォルメマンガのファンシーさも相変わらずです。
読んでいる最中の桂のイメージは北村薫「円紫師匠と私」シリーズの《私》でした。語り口が桂ととても似てるので、興味のある方はぜひ読んでみて下さい。
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