2008.07.21

エド・ニューマイヤー「スターシップ・トゥルーパーズ3」


「彼を殺すの?自分と違う神を信仰しているというだけの理由で」
「でも間違った神です」


秩序ある国家における国民の権利と義務を余す所無く描ききったハインラインのSF小説「宇宙の戦士」を、鬼才ポール・バーホーベン監督が皮肉な視点でアメリカ軍国主義を笑い倒す傑作映画に仕上げた「スターシップ・トゥルーパーズ」のシリーズ最新作。
植民惑星を作るなど地球から宇宙へとその生活範囲を広げ出した人類。しかしそこに待ち受けていたのは巨大な虫型の宇宙生物バグズとの果てしない戦いだった。植民惑星ロク・サンの防衛基地で指揮を取るジョニー・リコ大佐は、ある日地球連邦軍の総司令官の視察を受けるが、時を同じくして防衛基地の電磁防御壁が消滅、雲霞の如く基地内に進入して来たバグズの群れに基地は壊滅状態に陥る。
ぼくらのヒーロー、ジョニー・リコが帰ってきたぜ〜。前評判を聞いていろいろ心配していましたが、まごう事なき良作。スターシップ1の持っていたテーマを裏表とも忠実に継承、挑発的なメッセージを内包した実にシビれる続編になっています。取り敢えず挿入歌「死に日和」(youtube動画)の早急なCDリリースを熱望したい。以下ネタバレ。
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Posted at 17:34 | 映画 | COM(0) | TB(0) |
2008.07.06

スティーブン・スピルバーグ「インディ・ジョーンズ クリスタルスカルの王国」


「いいか、真の考古学者は図書館などに用は無い!」

ハリソン・フォード主演の超大作シリーズ4作目。前作から19年後の米ソ冷戦の真っ最中、研究よりもフィールドワークを身上とする考古学者インディ・ジョーンズがオーパーツの謎を追って世界を駆け巡る。
1957年アメリカ、ネバダ州。考古学者インディ・ジョーンズはソ連の特殊部隊KGBに拉致され、米軍の機密品貯蔵庫へと連行されていた。KGBの女将校イリーナは貯蔵庫に保管されている機密物資を探すのを手伝えとインディに強要する。それは何年も前にインディが不承不承関わったある事件に関連する忌まわしい棺のことだった。
久々に映画館で他の観客共々大笑いして来ました。マリオン最高!!インディ・ジョーンズは3作目が個人的にアレだったので、ぜんぜん期待していませんでしたが、面白過ぎて参りました。タイムリーにも最近パチモノだと証明された古代の水晶ドクロを軸に、忘れ去られた「世界の七不思議」を鮮やかに現代に蘇らせてくれる傑作アドベンチャー映画です。ハムナプトラとかトゥルーライズとかメタルスラッグ3とかドリフとか大好物な貴兄に是非お勧めしたい超イカした一本。以下ネタバレ。
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Posted at 12:03 | 映画 | COM(0) | TB(0) |
2008.06.14

ガイ・リッチー「リボルバー」


上達する唯一の方法は強敵との勝負――――チェスの基礎

「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」「スナッチ」そしてマドンナの現夫であるガイ・リッチーによるクライム・ムービー。
凄腕ギャンブラーのジェイク・グリーンは暗黒街の大物マカに逆らった為、ある事件の犯人に祭り上げられ7年もの間投獄されていた。出所したジェイクはさらに腕を磨き、復讐の為にマカの経営するカジノで本人相手に大勝するも、マカの雇った殺し屋に襲われ仲間を皆殺しにされてしまう。
何と言ったらいいものやら。取り敢えずロックストックシリーズの3だと思ってる人は観ない方が懸命。
以下ネタバレ。
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Posted at 23:42 | 映画 | COM(0) | TB(0) |
2008.03.20

ジョエル&イーサン・コーエン「ノーカントリー」

no country
「人は失ったものを取り戻そうとしてさらに失うのだ。結局出血を止める他はない」

ダメな人が少し欲をかいた為に不運な事件に遭い、マヌケなドジを踏んでみじめに死んでいく作品を撮らせたら世界一。コーエン兄弟の快挙、第80回アカデミー賞作品、監督、脚色および助演男優賞受賞作。
1980年代のアメリカ、テキサス。砂漠でハンティングを楽しんでいたベトナム帰還兵ルウェリンは、丘の下で数台のクルマと射殺された複数の死体を発見する。二つの組織が麻薬の取引で揉めて相打ちになったらしい現場を調べるうち、ルウェリンは大金の入ったトランクケースを発見する。自宅にトランクを持ち帰ったルウェリンは、唯一生き残った怪我人に水を与える為に現場へ戻るが・・・。
面白い脚本があっていい感じの"間"を撮れたら映画にBGMはいらないですね。むしろ邪魔。以下ネタバレ。
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Posted at 10:24 | 映画 | COM(0) | TB(0) |
2007.06.04

ザック・スナイダー「300」


「スパルタ戦士たちよ、朝食はしっかりとっておけ!晩餐は"地獄"で取るからな」

古代ギリシャのテルモピュライの戦いを描いたフランク・ミラーの原作コミックを「ドーン・オブ・ザ・デッド」の新鋭が映画化。エログロ描写の為15禁。
紀元前480年のギリシャ。ギリシャの都市国家の一つ、スパルタにペルシャ帝国の使いがやってくる。使者のメッセージはただ『土と水』。その言葉の意味するものは「服従か死か」。幾多の国々を侵略してきたペルシャ帝国数十万の大軍団に小国スパルタが勝てる見込みは無かったが、スパルタ王レオニダスはペルシャの使いの態度に激昂、皆殺しにしてしまう。
TVでトレイラーを見て以来、ずーっと公開を心待ちにしていた作品。先行上映で観て来ました。重厚さを醸し出すセピア色のフィルムの中、赤いマントを身をまとった筋骨隆々の精鋭たちが、地平線を埋め尽くす大群を相手に獅子奮迅の戦いを繰り広げます。襲い来る敵の大群をファランクス陣形で迎え撃ち、長槍で刺す!剣で斬る!巨大な円形盾で押す!殴る!生首が飛び、手足が生き別れ、山に積み上げるは敵兵の死骸。スタッフロールまで血飛沫飛び散る徹底したバイオレンス描写がたまりません。以下ネタバレ。
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Posted at 01:21 | 映画 | COM(0) | TB(0) |
2007.05.16

ゲオルギー・ダネリヤ「不思議惑星キン・ザ・ザ」


「あの・・・あそこに異星人だと言う人が」
「通報しろ」
「しますが裸足で寒そうで」


グルジア共和国(旧ソ連)出身のゲオルギー監督によるSFムービー。1986年作品。当時の試写では批評家に酷評されたが、旧ソ連全土では若者の支持を集めて大ヒットした。
旧ソ連時代、冬のモスクワ。仕事から帰宅した技師のマシコフは早々に妻におつかいを頼まれ、パンを買いに街へ出かける。大通りの雑踏でマシコフは青年ゲテバンに呼び止められ、頭のおかしい浮浪者の相手をする羽目になってしまう。男が空間転移装置と呼ぶ機械をバカにして勝手にスイッチをひねったマシコフは、ゲテバンと共に見知らぬ砂漠のど真ん中に飛ばされてしまうのだった。
友人からの借り物。長く借りててごめんなさい、ようやく見ました。いやー、すんごい面白かったよ。これとか「ルナ・パパ」とか東欧の人にしか作れない映画だと思います。以下ネタバレ。
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Posted at 22:15 | 映画 | COM(0) | TB(0) |
2007.05.02

イーライ・ロス「ホステル」


「私は肉食だ。人間の本性だよ」
「オレの本性は違うな」
「では――――君の本性は?」


キャビン・フィーバー」で一躍脚光を浴びたイーライ・ロスによる監督作2作目のスプラッタスリラー。特別出演でイーライ監督の敬愛する三池崇史が本人役で登場。
バックパッカーをしながらヨーロッパ各地を旅行しているアメリカの大学生パクストンとジョシュ。ある時二人は"必ず美女とヤリまくれるホステルがある"との話を聞いて、旅先で知り合ったアイスランド人オリーと共にチェコの田舎町へ向かう。そこで一向は確かに酒池肉林の一夜を過ごすが・・・。
友人からの借り物。通算5回も観てしまった。面白かったよー。非常に残酷で惨たらしく悪趣味なホラーですが、これは狙って作ってるのだから仕方ないところ。展開といいテーマといい、その辺の頭の悪いティーンエイジホラーとは一線を画したインテリジェンスの高さがこの作品の見所です。哀れな子羊は大方の予想通り激しくTortureされた上にダイする訳ですが、バラす変態の方にも一片の理というか。衝撃的な事件の結末を目の当たりにするというよりは、チラリと真実を覗いちゃったゾ☆未だ状況は進行中という感じが実にイヤです。名刺裏の料金表などの細かいギミックが物語に嫌過ぎるリアリティを持たせて、最悪の演出を成し得ています。生粋のホラー映画マニアであるイーライ監督がタランティーノ他、気の会う仲間とよってたかって作り上げた悪夢の結晶といえる作品です。
コメンタリーはバージョン違いを4つ収録と異様に充実していて超素敵。低予算ホラー映画のコメンタリーは時々本編より数倍面白いので困ったものです。中でも監督一人語りによる作り手向けの話がおすすめ。映画監督になる為には何をしたらいいか、安く映画を撮る為の知識、役者の取り扱い方等多岐に渡って熱っぽく語りかけてきます。監督の話からはスタッフに対しての敬意を忘れない、なかなかの人格者である事が伝わってきます。「服が汚れないと仕事をした気にならないんだ」は名言。以下ネタバレ。
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Posted at 15:24 | 映画 | COM(0) | TB(0) |
2007.01.16

押井守「立喰師列伝」


ネギ抜き七味は言ってみれば立ち喰いの基本であり、いわゆるハズレ、まずいソバに対する立喰師の一般的な対処法であった。

「攻殻機動隊」「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」の押井守による架空の昭和史。
戦後の昭和史にその名を刻んだ伝説の仕業(ゴト)師<立喰師>。その技とは手練手管で店主を煙に巻き、無銭飲食を成し遂げること。蕎麦屋から屋台、ファーストフード店まであらゆる飲食店を戦慄させた8人の立喰師の物語が語られる。
押井作品では「紅い眼鏡」「トーキング・ヘッド」に代表される業界人総出演のお遊びムービー。前2作の出演者は声優陣が中心でしたが、本作では漫画家から某アニメ製作会社の代表取締役まで内輪のワクを越えた充実振り。作中に登場する立喰師も「御先祖様万々歳」から犬丸、「紅い眼鏡」から銀二と、自作のセルフパロディーが目立ちます。「ビューティフルドリーマー」からは「マッハ軒」が驚きの再登場。ナレーションは実力派声優、山寺宏一(山ちゃん)。上映時間一杯、1時間以上にわたって押井得意の長セリフをしゃべってしゃべってしゃべりまくります。
シリアスもギャグもOK。二枚目から三枚目、子供から老人までを演じ分け、アドリブから滲み出すユーモア感覚。怪優千葉繁のあとを継ぐのは山寺宏一に違いない、と十年以上前から勝手に思っていたのですが、ついに望んでいた瞬間がやってきました。いかにも持って回ったケレン味たっぷりの押井セリフを、まるで詩の朗読の如くリズミカルに読みこなす山ちゃんステキ。劇中のフランクフルトの哲の下りが、「トーキング・ヘッド」のサントラに同梱されていたドラマCD「ゲーデルを夢見て 録音監督1993年」(ナレーターは千葉繁)の脚本とほぼ同じなので、図らずも千葉繁vs.山寺宏一のホン読み対決を行う事ができます。結果は、さんざん「ゲーデルを・・・」を聞き込んだことを差し引いても千葉繁の勝ち。やっぱり千葉さんの世界観は格別ですわ。山ちゃんのナレーションは達観した第三者的な雰囲気ですが、千葉さんのソレは熱くて感情の起伏に富んでいるのですよね。それでも本作では確実に新世代へとバトンが渡ったのを感じました。
「攻殻機動隊」や「パトレイバー1、2」の画やストーリー展開が好きな人には、単調で退屈な作品であることは否めませんが、もともとTVアニメ「うる星やつら」のメガネの長ゼリフで押井ワールドを好きになった自分にとって本作は御馳走みたいなもんです。「トーキング・ヘッド」も「御先祖様万々歳」も大好きですし。が、押井作品でも愛知万博「めざめの方舟」や映画「ケルベロス」等が理解不能なのは明記しておきます。
Posted at 21:32 | 映画 | COM(0) | TB(0) |