キリンジ「自棄っぱちオプティミスト」

そもそも、ひとりのアーティストを2時間も聴いていられなくて。立ったまま聴くというのも、辛い。(堀込高樹 227Pより)
ぼくも人前で歌いたくて音楽はじめたわけじゃないから不安もあるわけで。(堀込泰行 136Pより)
文学系女子御用達の雑誌「ダ・ヴィンチ」に08年5月〜10年4月まで連載されたキリンジのコラム「自棄(やけ)っぱちオプティミスト」を一冊にまとめたエッセー集。他に長嶋有、森山未来との対談やキリンジ辞典、メジャーデビューからボイエンシーまでの14年間を語り尽くす10時間インタビューが90ページ以上にわたり掲載。本のタイトルは6thアルバム「ドデカゴン」の収録曲より。
以前発売されたエッセー集「あの世で罰を受けるほど」ではハイテンションかつエキセントリックな文章の高樹兄ちゃん、ネタも無くしぶしぶ日常を描写する泰行さんという対比が面白かったですが、今回は作家然とした落ち着いた文章の兄樹、軽快な脳内疾走をする弟ヤスという大きな変化が見られます。特に泰行さんの文章力の上がり具合がハンパない。今回間違いなく兄ちゃんの文章より面白いです。やればできるじゃん。ライブのMCでも本気出せ本気をと思わずにはいられません。また、一応雑誌連載分をまとめたエッセイ集という体裁ではありますが、この本のメインは間違いなく10時間インタビューの方でしょう。ミズモトアキラ氏を聞き手に柴田マネージャーが補足する形で、アルバムの製作風景からジャケットデザインのあれこれ、「Drifter」「エイリアンズ」等名曲の誕生秘話、ライブへの姿勢や兄樹の結婚式、当時考えていたことまで事細かに回想しています。これが凄い。知りたかったことから知りたくなかったことまでいろいろ語りまくってます。最近は年のせいか好きなアーティストのことを知り過ぎて嫌いになる傾向が自分の中にあるので、そういうツイッターとかラジオは極力見たり聴いたりしないようにしてるんですが、そういう幻想抱きがちなファンにはキツいぶっちゃけ話が多い感じ。逆にアーティストが着てるものや食ってるものまで知りたいようなファンには必携の一冊なんじゃないでしょうか。
過去記事:キリンジ「あの世で罰を受けるほど」
XBOX360「ドラゴンズドグマ」体験版

カプコンからPS3と箱○のマルチで5月25日発売のアクションRPG。こないだ体験版が配信されたので毎日一回づつくらいプレイしてたりします。プレイ可能な2つのミッション、キマイラ退治もグリフォン狩りも短時間でサクッと終わるので、寝る前の1プレイに最適です。ただ国産初の本格オープンワールドを謳っているわりにはあまりに歩けるフィールドが狭いので、移動可能なフィールドの外に敵が出てしまって攻撃ができなくなったりと少々不安な部分があったりします。その辺ジャストコーズ2の体験版とか見習って欲しいところ。自分にとってのオープンワールドは楽しい散策、お散歩こそが本道なので。しかし敵の弱点を教えてくれたり、有効な支援魔法をかけてくれたりと賢いNPCがいろいろ世話を焼いてくれてるのはいいですな。リアル友人でプレイするMO自体なかなか馴染めないコミュ障の自分としては、こういうタイプのゲームの方が孤独を程好く癒してくれるような気がします。またマイキャラを性別から体格、顔のパーツまで細かくエディットできるので、ゲームプレイそっちのけで熱中できるのもいい感じ。マイキャラ以外にもポーンと呼ばれる相棒NPCも一人エディットできるので、理想の男性像と女性像を作り分けたり、ガチムチ兄貴をはべらしたり、セクシー熟女とペド幼女を同時に画面で拝めたりできるのが嬉しい。どうもこのゲームには人間タイプの亜人種が存在しないようで、オブリビオンやスカイリムと違ってケモナーや爬虫類、豚顔萌えまでは網羅しきれていないのが残念といえば残念。やっぱりああいう異種族のるつぼみたいなスターウォーズ的絵面はまだ日本では受け入れられ難いんでしょうか。

未だ冷めやらぬティモシェンコ前大統領萌えをキャラクリで表現してみた。ちょっと椎名林檎も入ってるかもしれない。
5/16追記:キメラ戦ソロプレイ(YouTube動画)。プロローグステージでスタート地点後ろの断崖からポーンを担ぎ上げて即投げ捨てる!そうするとソロプレイできるみたいで。こういう遊びをすぐ思い付くのって面白いなー。ポーンをぞろぞろと引き連れて漫然とキメラ倒して『う〜ん。あんまり強くなかったな』とか言ってた俺とはえらい違いです。キメラの攻撃をジャストガード(敵の攻撃が当たる直前にガード)して転倒させるのも、今見ると普通にポーンがやってたんだよねえ。遊びって発想だわ。
キリンジ「祈れ呪うな」

togetherしようぜ 土下座させようぜ 知ってたクセに騙されたとはね
やましさのタトゥー刻み付けて とこしえに背負ってゆくパレードよ
祈れ呪うな あれは荒ぶる神だぜ 怖い 吹き飛ぶ屋根が
ここのところのキリンジといえば、佐野元春のソングライターズで観覧者との作詞バトルに負けたり(俺の主観です)、セルフカバーアルバム「SONGBOOK」では全体的に提供アーティストの歌の方が良かったりと、個人的にはちょっとパワー落ちてるかなという感じでしたが、こないだのインターネットラジオKiKi_KIRINJIで流れたこの新譜は激しく来ました。311以降の反原発運動を歌ったお囃子ロック。どこか吉良知彦を思わせる歌詞とギターサウンドで、今までの洒落たポップスとは違った新境地を見せてくれています。歌詞もいつもの皮肉を効かせながら、都合の悪いものを遠方に押し付け安全な場所から繁栄を享受していた自らを恥じ入る複雑なもの。これから先の「嫌だ怖い」だけでなく、今までの「安心豊か」をあえて拾っている部分が今までの原発ソングと一番違うところで、兄ちゃんしか書けないラインだと思うですよ。地獄の釜を炊く 神の火で等の比喩も起きろよ アトムの子らよなど引用もキレキレです。まだ全部曲聴いたわけじゃないのであんまり決め付けるのもアレですが、都市鉱山と並び今後も歌い続けていって欲しい方向性なのです。5月30日発売でネット配信のみ。
速水螺旋人「大砲とスタンプ」1巻

「兵站軍の豚がよくこんなところに顔を出せるな」「机仕事の腑抜けでも酒が飲めるたぁ驚きだ」
「なにィ?よく聞け、低能のお前らが毎日喰ってるエサを誰が恵んでるのか、塹壕掘りには高尚過ぎてわからねぇか」(P102より)
増刊モーニング・ツーで連載中の戦争漫画。架空のヨーロッパ第二次世界大戦を舞台に主に物資の輸送、補給等の後方支援を行なう兵站(へいたん)軍の活躍を描く。
我々の歴史とは少し異なるパラレルな世界。20世紀頃のヨーロッパ黒海周辺。大公国(ロシア)と帝国(ドイツ)の同盟軍が共和国(おそらくトルコ)と開戦して2年。大公軍の士官学校を卒業したばかりのマルチナ・M・マヤコフスカヤ少尉はアゲゾコ要塞(キシニョフかな)の兵站軍に配属される。糞真面目で融通の利かないマルチナだが持ち前のポジティブさで汚職問題や金策、接待などに奔走する。
一時期ずっと品切れで店頭で買えなかったりしましたが、最近は靴ずれ戦線の1巻と共に平積み状態になったようで大変めでたい。速水さんの著作が近所の本屋で購入できるとは何という幸せ。これからもガンガン売れてどんどこ刊行して欲しいものです。しかしこの紙面から溢れ出す漫画力はどういうことなのか。戦艦や空母などの兵器類は言うに及ばず、建物の内装や書類の束すら徹底的にポップでキュート。そして有象無象のオッサンモブ達の表情豊かなこと!画の全てが生き生きと描かれていて今にも動き出しそう。もともと同人誌やTRPG関連で物語の1シーンを切り取ったようなイラストカットや設定画をたくさん描かれていたこともあって、その蓄積が充二分に生かされてる感じがします。その中でも特に雑然としたオフィス机や紫煙立ち込める停滞した会議風景には速水さんの強い愛着を感じます。戦争ものというジャンルではありますが、戦車や銃などミリタリーに興味が無い人でも普通にお仕事漫画として楽しく読める作品に仕上がってると思います。続きが楽しみ。

以前描かれていたマルチナの原型からは残念ながら身長とバストが削り取られてしまった模様。一部の要素はアーネチカ兵長とボイコ曹長に振り分けられたみたいですね。作中マルチナがアーネチカに読み書きを教えるシーンは名場面です。グッと来るよ。
過去記事:速水螺旋人「速水螺旋人の馬車馬大作戦」
アレックス・ステイプルトン「コーマン帝国」
ロジャーは言ったよ。"バニシング IN TURBOがCBSに売れたんだ。君の取り分は7.5%、私の分は92.5%だ。スゴイだろ"
低予算映画の神様と称えられる映画製作者ロジャー・コーマンの映画にかけた半生を、数々のインタビューとフィルモグラフィーで綴ったドキュメンタリー映画。
今池の名古屋シネマテークで5月19日から上映決定!ということで行って来ます。シネマテークとか大学の映画研究会のコンペ以来かもしれない。あの時の作品は自分がカメラ担当だったんですが、撮影で露出を全然考えなくて現像頼んだら真っ白いフィルムが何本も部室に届いたりしたよね。あれはヒドかったなあ。もう絶対完成しないと思ったよ。その次の作品は脚本と絵コンテだけ仕上げて逃げたんだけど、後輩が完成させててモーレツに感動した。完成品見てないけど。でも観た友人が「今までの映研作品で最高の出来だった」って褒めてくれたから、きっと面白かったんだと思う。さすがオレ。思えばオリジナルの作品を製作したのはあれが最期だったのかな。もうあれから十年以上。時が経つのは早いもんです。しかし低予算映画で撮影日数があとわずかって最高に燃えるシチュエーションだよね。そして作品そのものよりも作ってる最中の方が絶対に楽しいんだ。
この勢いでジョー・ダマトやジェス・フランコのドキュメンタリー映画とかもどこかで作ってくれないかな。きっと同じくらい面白いと思うんだけど。
関連リンク:最低映画館 - マジソンズ博覧会
ボカロの春ソング

気が付けば3月ももう終わり。梅は満開、桜のつぼみもふくらみ始め、年度末になりました。4月から新生活を始める人も、去りゆく人を見送る人もこの時期は何だかソワソワしちゃいますね。今回は卒業、桜、新生活をキーワードにボカロの春ソングを何曲か選曲してみました。定番の桜ノ雨もいいけど、こういうのもいいと思うんだ。恋人同士の決別ソングも入れようかと思ったんですが、ちょっとテーマがぼやけてしまうかなと思い今回は除外しました。既存曲とはちょっと違う、ニコ動発の新世代の春ソングをお楽しみ下さい。
| 関連記事: | ボカロと人のデュエットソング |
| ボカロのクリスマスソング |
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道満晴明「ぱら☆いぞ」1巻

呪!「このマン○がすごい!」第1位!(オビより)
コミックホットミルクと並び称される月刊エロマンガ雑誌の西の横綱、COMIC快楽天に連載中の下ネタ四コマ漫画。遅まきながら先日ようやく購入しました。もう発売から一年も経ってたのかー。うんこちんこま○この下ネタはただ単語を口にするだけでも面白いというある意味ズルい、卑怯な笑いのツボであるわけですが、近年ではエロゲー&エロマンガカルチャーの発達によりザーメンシャワーやらアヘ顔ダブルピースなど次々と新しいキーワードが生まれているコトバの最先端でもあります。日頃そういうのに疎いオッサンとしてはその辺りの前衛オタカルチャーに楽しく触れられる貴重な一冊。勿論そういうのを知らない一般人にも・・・・・・う〜ん、どうなんだろう。もしかしたら楽しめないかも。道満センセの作品はゲーメスト時代からちょこちょこ読んでいたものの、そのあまりにシュールで虚無的な作風ゆえか熱心に読むことは無かったのですが、これは来ました。ビンビンに。あの突拍子も無い世界観が四コマという枠に区切られるだけで、こうもテンポが良くなりネタの爆発力が増すとは。これまで下ネタ四コマといえば倉島圭のメグミックスでトドメをさしてたんですが、その牙城を揺るがす勢いです。呪田さんや弱田さんとかキャラクターがみなポップで可愛らしいのもいいですね。そういえばこれもあずまんが大王から始まる萌え四コマの系譜なんだなあと改めて思ったり。
単行本収録するにあたっては雑誌掲載分からいろいろ修正されていたりします。個人的に朧先輩と芹沢さんの顔書き直しは非常に残念・・・というか読み返したら修正凄いの最初の一話だけ?何か貼ったトーンがヤバかったとか?ってそんなワケないか。
リドリー・スコット「プロメテウス: 公式予告編」
人類の起源を探しに旅立った一向 しかし彼らが発見したのは 人類を終わらせるものだった
リドリー・スコット監督の「プロメテウス」は2012年6月8日から全米で公開予定のSF映画。1979年に公開されSFホラーの金字塔となった「エイリアン」。その前日譚が同じくリドリー監督自身の手により描かれる。あの異文明の巨大な宇宙船は一体何者によって造られ、どこから来てどこへ行くのか。30年間語られなかったスペースジョッキーの正体とは?テラフォーミング船プロメテウスの一行が宇宙の深遠で目にしたものとは?ギリシャ神話で火を人間に与えた罰として永遠の苦痛にさいなまれるプロメテウスとは一体誰のことなのか?
ぎゃー!この予告編を目にしてしまってからもー頭の中こればっかですよ。みみみ見たい!早く見せろ!これまでに公開された情報を総合すると、大枠としてはエイリアン一作目と登場人物、ストーリー共に非常に近いもののように思えますが(女性主人公、男性船長、ウェイランド社のアンドロイドや未知の宇宙船内探索など)どう展開していくんでしょうか。宇宙に冠たるブラック企業、ウェイランド・ユタニ社のエリートが一人船に同乗しているのが一作目キャストとの明確な差異ですね。一作目で横たわっていた宇宙船がいやらしく屹立していたり、あまつさえ地表でタイヤみたいに縦回転してたり、船内に並んでいるのがエイリアンの卵でなく墓標みたいな感じだったり、その大広間の巨大なヒトのデスマスクとかそもそもそこは惑星LV-426なのかどうなのか、気になるところ多過ぎです。私のつたない予想だとあの宇宙船はつまりR-TYPEのバイドみたいな感じじゃないのかと思ってるんですけど。人類が敵対陣営の住む惑星を丸ごと殲滅する為に作り出した自動兵器。作り出した人類自体は暴走したそれによって滅び、自動兵器は星々の海を渡り独自の進化を遂げ、母なる地球に帰還しようとしている・・・なんてな。実際R-TYPEも映画エイリアンが公開されなかったら存在していなかったかもしれないほど、デザイン的にH.R.ギーガーの影響の強い作品なのでその辺の妄想も楽しいのです。一作目の原案・脚本を手がけたダン・オバノンがもし今生きていたらどんなシナリオを書いたんでしょうか。この作品に一作目構想時の設定が少しでも生かされていたらいいなと感じずにはいられません。日本では今夏の8月6日に公開されるとのこと。待ち切れないですよホント。楽しみだー。
3/18追記:公式フルトレーラー来たー!!おおお妄想が膨らむ!心拍数も上がってきた!ついに粘液が来ましたよ粘液が。ネチョッて。糸引いて。月の遺跡に何か座標が記してあったんですかね。象形文字みたいなものが伺えます。やっぱり誰かが宇宙船内で感染して変化していく展開っぽい感じ。感染した乗組員がスペースジョッキーになっていくとか・・・?物語はエイリアンの起源、誕生まで語られるんでしょうか。興味は尽きません。